良いさじ加減

Posted on 月曜日 7 2月 2011

こんばんわ、院長の黒住です。今日も引き続き虫歯のはなしです。

面白くなくてもいつか興味が湧くかもしれませんので書き留めておきましょう。

下にあるのは虫歯になっている歯の断面図です。

真ん中の赤で塗られてある部分が神経のあるところです。黒い虫歯がそこまでいってしまうと「激痛!」。
このようなもう少しで神経にふれそうな深い虫歯ってどうしたらいいんでしょうか?

答えは「虫歯をあえて全部取らずに残しておく」です。

通常の状態でズキズキと疼く場合は上の絵の状態よりも悪くなっている場合が殆どで歯の神経を取ってあげないといけないと思います。

でも上の絵のように大きな虫歯でも「少ししみる」くらいしか症状がない場合も結構多いのです。

それでも実際はかなり虫歯が歯の深部まで拡がって神経のあるところ(上図の赤の部屋)まで取らないと虫歯の部分が残ってしまう・・・。

「仕方がありません。神経も取らないと虫歯が取りきれません。神経とりますね。」

???神経を残したいのか虫歯を取り除きたいのかが混同というか本末転倒な結果になってしまってます。

そもそも虫歯になっている部分というのは「感染歯質(かんせんししつ)」と言って細菌だらけの悪い部分ということで全部取りきらないといけないと学校で習います。

でもどこまでが悪い部分でどこまでがいい部分なのか?感染してるとしてないってどうやって見分けるのか?・・・・・この辺りは学術的なお話なのでおいておきます。

要は神経の温存に努めることが大事なのであってイコール虫歯を取りきることではないのです。

もちろん、ただ虫歯を残せばいいってわけじゃありません。数か月の経過観察の後、再治療です。経過観察中も中で虫歯が広がらないように処置してあげないといけません。

でも時々、患者さんからも聞かれる「~~ミックス」とかいう抗生物質は使いません。これはもちろん保険適応ではないですし、なにより・・・効くんですかね(笑)

歯っていうのは皮膚とかと違って自己治癒するわけではないので使える状態まで戻してあげないといけません。それもいい意味でだましだまし。

昔ながらの大先生はこのいい加減の良いさじ加減を熟知しているので歯科であっても名医ってよばれてるんだろうなぁって思います。

僕もこの「いい加減さ」を大切にしながら診療してゆきたいと考えてます。

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