Posted on 水曜日 27 4月 2011
歯の痛みを訴える時、なんて言ったらいいのか分からない事って多くないですか?
「何だか奥のほうがズキズキ・・・・」
「兎に角、めっちゃ痛い・・」
「ズーンと重いような感じ・・・・」
うーーん。貧困なボキャブラリーでの訴えは診断の糧になかなかなってくれません。
「日本の場合、痛みを表す言葉としては「ちくちく」「ずきずき」「しくしく」といった擬音によるくり返し言葉がよく使われます。これに対し英語ではpulsing,beating,drilingなど、その刺激の状態や刺激を与える物を具体的に表した言葉が多く使われています。」
御存じのように夏目漱石のお陰で日本は「口語」という表現方法が発展しました。
自分の気持ちを言葉で表すという、今では当たり前のことが明治期に入るまで出来なかったというか無かったのです。
しかも我慢することが美徳とされる文化的背景の中「痛み」の表現方法が豊富である可能性は・・・・。
文化という観点から言えば多民族国家であるアメリカが「痛み」の表現をいろいろな工夫を凝らして文章にするというのは必要から生まれてきたことかと・・・。
「McGill(マクギル)痛み質問票:MPQ(McGill Pain Questionnaire)」
http://toutsu.jp/pain/method.html
上のサイトにもありますがマクギルの質問票の痛みを表現する形容詞は全部で78個!
これを日本語に訳す際に大変苦労したということが書いてありました。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/24875/26560/50128652
いずれにせよ痛みを分析する際には痛みの表現方法の規格化、痛みの度合いの定量化みたいなステップが必要になります。
視覚的評価スケール:VAS(Visual Analog Scale)とかでどのくらい痛いかを定量化する方法は有名ですが、痛みの表現方法っていうのは「コトバ」という大きな壁があるのでおいそれと簡単にはいきません。
痛みの訴えを聞く側としては集中して耳を傾けることしかできません。訴える側は痛みのある中では難しいですが冷静に痛みを分析して説明することが大事かもしれません。
フランス語圏で関西のおばちゃんが「水ちょうだい!水!」と身振り手振りで訴えかけてホテルのフランス人が手渡したエビアン・・・・これが万国共通の「コトバ」だと思います。
ただこの「コトバ」だけでは説明しきれない類の「痛み」があります。それこそマクギルの分類を学習して分類しないといけないような。さらには地域による方言の違いなどから生まれる表現方法などがそれをさらに複雑に・・・・。
そんな人文科学的な捉え方がまだまだ多いに役立つほどに「痛み」の理解は難しい・・。そんな中、「歯が原因ではないのに歯の痛みに感じてしまう疼痛」の種類分け・・・・これが大事だと思うことが日常臨床ではよくあります。
次回は、まるまま引用しながら「非歯原性疼痛」についてまとめておきます。