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Archive for 5月, 2011

すきっ歯 (上唇小帯)

 

上の写真が「上唇小帯」です。 お子さんのいらっしゃる方なら特に!この膜のようなものを歯ブラシの時などに気にかけたことがあるはずでは? 人によってその長さや太さが違います。1歳半とか3歳児の検診で指摘されることもあります。 さすがにすぐに切った方がいいという歯科医師はもう居ないとは思いますが・・・。 上の写真もまだ乳歯の段階ですから当然、切る切らないは考える必要がありません。 まれに強直症といって発音障害を及ぼすほどにこの小帯が発達している場合は別ですが。 ではこの小帯の何がいけないのか? それは永久歯がはえた段階ですきっ歯の原因になる可能性があることです。 でも犬歯(糸切り歯)がはえるまで前歯がすきっ歯というのはよく見られる光景で別段珍しくありません。 犬歯がはえることで前歯が真ん中に寄ってくるわけです。 しかし、前歯が寄ってこられる環境を作るべ前もって切っておく必要がある場合があります。 それを歯科医院で診てもらいましょう。 少なくとも前歯がはえてからでないと診断もなにもできません。つまり5歳から7歳くらいが診断時期になるでしょう。 3歳で苦いフッ素の塗布と小帯切除のセット治療を受けたら歯科に行きたくなくなるでしょうね。 また適齢時期での切除もレーザー使用のほうが簡単で良いかと思われます。

痛みついて~まとめ~

 

まずは前回の表から 非歯原生歯痛の分類(http://www.dental-diamond.co.jp/data/dd2005.pdf) 1.筋・筋膜由来(筋筋膜痛)→噛みしめや歯軋りなどで誘発されることが多いがマウスピースですべて解決ではないので注意。 2.神経血管由来(群発頭痛)→歯痛ですが本体は頭痛からくるもの。非常に激しい痛み。 3.心臓由来→狭心症や心筋梗塞の一症状。発作的に数十分の痛みと運動との関連性がポイント。 4.神経原性   ①発作性神経痛:三叉神経痛・舌咽神経痛   ②持続性神経痛:帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、           非定型歯痛 5.上顎洞・鼻粘膜由来:上顎洞炎→鼻炎や蓄膿の症状の有無。 6.心因性   ・身体表現性障害〔疼痛性障害(非定型歯痛?)→特発性(原因不明の)歯痛。抗うつ薬が奏功する。 今日は残りの4.神経原性のものについてです。 ①発作性神経痛:三叉神経痛・舌咽神経痛 痛みの出るのは小鼻の横あたり、歯でいえば糸切り歯(犬歯)、さらには下の歯であれば小臼歯と呼ばれる奥から数えて3,4番目の歯。 瞬間的に激痛が走り、触診で痛む箇所の周囲を皮膚表面から触れると発作が誘発されます。 歯ではなく神経系統の問題で原因は神経の圧迫によると言われています。   ②持続性神経痛:帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、非定型歯痛 まずは帯状疱疹とはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%AF%E7%8A%B6%E7%96%B1%E7%96%B9 症状は・・・・・知覚神経の走行に一致して帯状に赤い発疹と小水疱が出現し、強い神経痛様疼痛を伴う。 この知覚神経が顎や顔面領域の三叉神経の場合、歯の痛みを伴い鑑別が難しくなる。発疹の前に痛みだけが出現するので歯の痛みと混同しやすい。 まとめ 大事なのは歯が原因ではない痛みの存在を意識しながら診断することでしかありません。日本の歯学部は医学部に属していないので全身のことはよくわからないというのが本音でしょう。 僕もどう考えても痛みの原因がわからないなあという場面にはよく出くわします。 結果的にやっぱり歯が原因だったということが後になってわかることもありますが不可逆的な処置をしてしまってやっぱり違ってましたというのが恐ろしいわけで・・・・・・。 わからない時はすんなり他科に依頼することが肝要かと思います。 それぞれの痛みの特徴を患者さんから聞き取るというのは外国との痛みの表現方法の違いでも触れましたが、発信者、受信者ともに訓練が必要だと思います。 それほどに「痛み」をこらえることを美徳とする文化が表現方法に規制をかけてるように思います。 しくしく痛む、じくじく疼く、キンキン痛む・・・・・・案外、国内でもコトバの壁は大きいです。           

歯の痛みの原因いろいろ

 

歯が痛いのに原因が歯ではないという種類の痛みについて。 どんなに歯をいじられても治らないので深みに嵌ることがあります。ただ鑑別診断が難しいです。 痛みを訴える患者さんも前回のお話でもあったように「うまく症状を伝えられない」のです。 具体的にはどんな種類の痛みがあるのか?以下引用です。 非歯原生歯痛の分類(http://www.dental-diamond.co.jp/data/dd2005.pdf) 1.筋・筋膜由来(筋筋膜痛) 2.神経血管由来(群発頭痛) 3.心臓由来 4.神経原性   ①発作性神経痛:三叉神経痛・舌咽神経痛   ②持続性神経痛:帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、           非定型歯痛 5.上顎洞・鼻粘膜由来:上顎洞炎 6.心因性   ・身体表現性障害〔疼痛性障害(非定型歯痛?)〕 かなり専門用語です。 まずよくあるのが 5.上顎洞・鼻粘膜由来:上顎洞炎 でいわゆる鼻炎とか蓄膿とかの痛みと混同するタイプのものです。風邪引きの時などによくみられます。 また6.心因性 は「気にしすぎ!」と言われる場合で「でも痛いんですけど!」という時は要注意です。わからない種類の痛みは心因性に放り込まれることが多いです。 今では原因不明のいたみとして特発性(原因不明の)歯痛 に属するものの「抗うつ薬」の処方で解決するようです。 さてはじめに戻って1.筋・筋膜由来(筋筋膜痛)から これは「慢性のひどい筋肉のコリ」だそうです。顔の周囲の筋肉を押さえて同時に歯が痛むような場合はその典型例です。「コリ」ですからほぐしてやらないといけません。 歯のくいしばりや肩こりからくるもので非常によくみられますが筋肉のある部分を押さえることで歯の痛みが誘発されるかどうかを確認しておかないといけません。 まちがってもマウスピースをもらって余計に痛くなったということがないように注意です。 2.神経血管由来(群発頭痛) 正直、経験がありませんが(過去の診断が間違ってなければですが・・)あまりの激痛が発作的に起きるので原因究明のため歯科を受診された方の半分近くがいずれかの歯を抜歯するに至っているという報告もあるようです。 自律神経の症状である、涙や鼻水が出るだとか・・・神経血管性頭痛からの歯イタなのです。頭痛なので詳しくはhttp://zutsu.jp/zutsu/mig03.htmlにて。 3.心臓由来 虚血性心疾患:http://www.gik.gr.jp/~skj/ihd/ihd.php3のサイトから 心臓の筋肉への血液の供給が減ることや途絶えることを虚血といいます。狭心症と心筋梗塞の2つをまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。 歯の痛みを伴うというのは良く言われることですが発作性に起き、持続時間が数分~数十分以内ということです。前の神経血管性頭痛では同じ発作でも1時間くらい続くことから鑑別が可能です。 また狭心症が原因の場合は運動との関連性をインタビューから読み取らなればいけません。 まるまる引用のわりには疲れたので最後の4.神経原性 は次回にまわしておきます。 ではおやすみなさい。